伊和神社の「田の神祭」

HOME観光・文化文化・芸術文化伊和神社の「田の神祭」
HOME観光・文化文化財文化財伊和神社の「田の神祭」

伊和神社とその社で奉納される「田の神祭」は、伝承によれば、坂上田村麻呂が征夷の折、加治田清水寺を創建して観音をまつり戦勝を祈願し、その時に豊作を祈って農民に教えた田植え踊りが起源とされています。またその子坂上広野は加治田沖の水田を伊和神社の社田として奉納したと伝わっています。当社は現在、富加町加治田の小字白山下にありますが、元々は川の対岸(字宮前)に鎮座していたものが明治42年に移転されました。昔から栃洞地区が主として奉祀していましたが、維持運営の便宜上、加治田村社として現在地に移し、従前の金比羅神社と並んでまつられました。祭神は大己貴神(またの御名は大国主神)です。

『田の神祭』岐阜県指定無形民俗文化財

昔は奉仕する役者13人は、氏姓により役割が定められて変わることはなかったが、現在は自由に希望により決定され、栃洞自治会の者が奉仕する。役者は一週間斎戒して奉仕することになっている。

田の神祭の役割

  • 祢宜殿 1人 祭事の主催者で狩衣姿、昔は神官の松野氏が奉仕、栃洞の小字の祢宜洞にその屋敷があったと言われています。
  • 太刀役 1人 神宝の太刀を持って舞踊します。
  • 長刀役 1人 神宝の長刀を持って舞踊します。
  • 棒役 1人 伝来の樫の六尺棒を持って舞踊します。
  • 翁役 1人 伝来の能面べし見を着け、祝ぎ言を唱えて舞踊します。素袍姿。
  • 聞き役 1人 唱え言の切れ目に、口を閉じたままウーンと言いいます。
  • 太鼓役 1人 伝来の古い太鼓を打ちます。
  • 獅子役 4人 前者が獅子頭を持ち、これに続く後者が幕を被ったまま右に左に転がって見物人を笑わせます。他の2人は獅子の左右についてみちびきます。
  • 餅役 4人 獅子の口に三升餅をくわえさせます。
  • 赤飯役 4人 踊りの終わりに器に盛った赤飯を持って「めしじゃ、めしじゃ」と呼ばって見物の中を廻ります。見物は厄除けのその赤飯を争って、とって食べます。

注 役者の服装は、裃袴を着し、紙緒の藁草履を履きます。

田の神祭、獅子の写真

獅子の様子 第七段

祭式の概要

  • 試楽(普通しんがくと言う)
    その夜は、栃洞地区の当元の家に集まり、本楽に供える赤飯にやばさみ15本を立て、御酒を供え、祝詞をあげます。それから本楽同様田之神踊を一通り試みます。
  • 本楽
    当元から祢宜殿を先頭に一同行列をして伊和神社に到着、御祓・降神・献饌・祝詞の後神前の広場に新筵三枚を三角に敷き、そこを舞台に開始します。
  • 第一段 太刀の舞 太刀をあやつり太鼓の音に合わせ三角筵の上で舞踊。
  • 第二段 長刀の舞 長刀をあやつり前同様。
  • 第三段 棒の舞 棒をあやつり前同様。
  • 第四段 のりと 祢宜殿が中臣祓の祝詞(年中行事と諸難守護と千年の栄えを祈る)を高らかに唱える。
  • 第五段 さんばそう 祢宜殿が単調の中に節をつけて、神徳ありがたく万歳楽を祝う意味のことばを唱える。ところどころ文句の切れ目に、聞き役が口を閉じたままウーンという音を出す。
  • 第六段 おきな 能面のべし見を着け、能衣装の役者が扇子を持って出て、問答様に、月毎の景物や、めでたい事についてゆっくり唱える。切れ目に前の様に聞き役がウーンと言う。
  • 第七段 獅子 獅子を左右2人で連れて出て中央で、扇子を大きく振り、ショッショッショエヤーと3度獅子の頭を打って、猛けるのを制止する所作をする。(このためショッショ祭りとも呼ばれている)この時に幕の中の後者は左右に転がって獅子があらびる真似をして見物を笑わす。終わりに獅子が三升餅をくわえさせて退場する。
  • 第八段 田の神祭 祢宜殿が豊作祈願の祝詞を唱える。
  • 第九段 田植うた 太鼓を中央に据え、役者総出で、太鼓の音につれてまわりを花笠をかぶり、ささらを擦って、10人が田植うたを歌って陽気に廻る。最も華やかな場面である。中途でささらを稲苗がわりの松葉に持ちかえて、その松葉を見物の上へ分けて投げる。歌がすむと花笠をとって見物の上へ投げる。この時赤飯役が神前に供えてあった赤飯を持って走りながら見物の中を廻る。見物は厄除けのその赤飯を争って取ってたべる。

これで踊の行事は終わり、一同神前に集まり、撤饌、昇神の儀が行われて式典は終了する。

「富加町史より抜粋」

祢宜殿が豊作祈願の祝詞を唱えている写真
田の神祭の始まり

翁が祝言を唱えて舞踊っている写真
翁(おきな)が祝言を唱えて舞踊 第六段

 

太鼓を中央に据え、役者総出で田植うたを歌っている写真
田植え踊り 第九段

赤飯役が神前に供えてあった赤飯を見物客に配っている写真
祭のクライマックス 第九段

 

所在地

加茂郡富加町加治田

お問い合わせ

  • 富加町郷土資料館 電話 0574-54-1443
  • 富加町教育委員会 文化財係 電話 0574-54-2177

カテゴリー

閲覧履歴

上へ