エムポックス(サル痘)について
エムポックスは、ウイルス感染による急性発疹性の疾患です。
これまで主にアフリカ大陸を中心に発生が報告されていましたが、2022年5月以降、流行国への渡航歴がない患者が欧米を中心に世界各国で報告されています。
日本国内では、感染症発症動向調査において集計が開始された2003年以降、これまで患者の報告はありませんでしたが、2022年7月25日に国内1例目となる患者の報告がありました。
その後散発的に発生が報告されていましたが、2023年に入り患者の報告数が増加しています。
※2023年5月26日に感染症法上の名称が「サル痘」から「エムポックス」に変更されました。
症状など
潜伏期間は通常6~13日(最大5~21日)とされており、発熱、頭痛、リンパ節腫脹、筋肉痛などの症状が0~5日程度持続し、発熱1~3日後に発疹がみられます。発疹は、その後水ぶくれ・膿疱・かさぶた(痂皮)へと変化します。
発疹の主な出現部位は、顔面や手のひら・足の裏ですが、体幹(背中・お腹)、生殖器、口腔内にできたという症例報告もあります。
発疹後のかさぶた(痂皮)が剥がれ落ち正常な皮膚に覆われるまでは、他人に感染させる可能性があります。
また、多くの場合自然軽快しますが、小児や患者の健康状態、合併症のなどにより重症化することがあります。
感染源・感染経路
・主に感染したヒトや動物の皮膚の病変・体液・血液に触れた場合(性的接触を含む)
・患者と近くで対面し、長時間の飛沫にさらされた場合
・患者が使用したリネン類(タオル・寝具など)に触れた場合 など
感染を疑う症状がみられたら
海外との往来時や自身の体調変化に注意していただき、エムポックスを疑う症状がみられた場合には、身近な医療機関にご相談ください。
なお、医療機関を受診する際には、マスクの着用や発疹部位をガーゼで覆うなどの対策をした上で受診してください。
また、数日の間に海外渡航歴がある場合は、その旨を診察した医師にお伝えください。
治療は対症療法となります。
感染予防について
天然痘ワクチンによって約85%発症予防効果があるとされており、エムポックスに感染した人との接触後14日以内にワクチンを接種すると予防効果があるとされています。
また、エムポックスに感染した人や感染が疑われる場合は、マスクの着用や咳エチケットなどの基本的な感染対策に加えて、不特定多数との性交渉を避けましょう。